営業支援
営業代行が失敗する会社の共通点は、発注した後ではなく前にある

「先月のアポ、12件でした」
報告のメールにはそう書いてありました。数字の上では動いています。ただ、同じ月の受注はゼロ。画面を見たまま社長がしばらく黙っていたのを、よく覚えています。
産業用の資材をつくっている会社でした。社員40名ほどで、営業は3名。新規開拓まで手が回らないので、営業代行を半年契約で入れた。3か月が経って、アポは毎週届くのに商談から先が動かない。
代行会社を替えても、たいてい同じ場所で止まる
営業代行がうまくいかない会社は、代行会社を替えても同じ場所で止まります。詰まっているのが代行会社の実力ではなく、発注側の準備であることが多いからです。
2社目、3社目と乗り換えて、そのたびに最初の1か月を仕切り直しに使う。リストの条件を説明し直し、トークを作り直し、また架電が始まる。アポの件数は前より増えることもあります。それでも受注は動かない。
ここで「営業代行は効かない」と結論を出してしまう会社さんが、けっこうあります。効かなかったのは代行という手段ではなく、渡し方のほうだったりします。
丸投げが事故るのは、入口と出口の2か所
全部を外に出すと危ないのではありません。危ないのは決まった2か所です。誰に電話をかけるかを決める入口と、商談で何が起きたかを戻す出口。
入口を任せると、リストは「作りやすい条件」で出てきます。業種と従業員規模で切っただけの名簿は、たしかに数は揃う。ただ、その会社が困っていることと御社の商材が噛み合っているかは、そこには入っていません。架電した先で断られても、断られた理由は代行会社の管理表に溜まるだけで、御社には件数だけが届きます。
出口も同じ形です。商談に出た営業が「あれは予算が合わなかった」と感じても、それが翌週のトークに戻らなければ、同じ相手に同じ入り方を続けることになります。
逆に言えば、架電そのものや日程調整は、外に出して構わない部分です。手が足りないから頼むわけで、そこを握り続けても意味がありません。
発注から受注まで、そのまま並べてみる
産業用資材のメーカー(社員40名・営業3名)が、新規開拓で営業代行を使う場合
かみ合っていないとき
かみ合っているとき
※ 体制や商材による一般的な例です。実際にどこで詰まっているかは、業務を拝見してからお見せします。
発注の前に、社内で決めておきたいこと
見積もりを取る前に、社内だけで決められることがあります。ここが空欄のまま契約すると、代行会社は空欄を自分で埋めるしかありません。
- 誰に売るか。既存のお客さんを20社ほど並べて、共通点を書き出す。業種より、困っていた状況のほうが効きます
- 何を成果と呼ぶか。アポの件数なのか、決裁者と会えた件数なのか。ここで単価の意味が変わります
- 商談を誰が受けるか。週に何件まで受けられるかも一緒に。3名の営業が既存客を回りながら週5件の新規商談を捌けるかは、事前に見ておく話です
- 断られた理由をどこに貯めるか。代行会社の管理表を自社も見られる形にしておくと、あとが楽です
- 契約が終わったとき何を残すか。トークも断り文句の傾向も先方の中、という契約だと、やめた瞬間にゼロに戻ります
ご相談をいただいたとき、私たちが最初にやるのも人員を組むことではありません。既存のお客さんを並べて共通点を出す作業を、営業の方と2時間ほど一緒にやります。ここで出てきた言葉が、そのまま架電のトークになることが多い。「困ってから探すのではなく、うちの場合は展示会の直後に相談が来る」といった話は、社内の人しか持っていない情報です。
料金の考え方については営業代行の費用相場についての記事に書きました。契約形態の話は、この準備が終わってからで間に合います。
うちも、入口を相手任せにして失敗しました
偉そうに書いていますが、自分たちが受け手のときに同じことをやっています。
ある案件で、リストの条件をお客さま側にお任せしたまま架電を始めたことがありました。いただいた条件どおりに回して、アポは出ました。ところが商談に出てみると、決裁がグループ本社にある会社ばかりだった。目の前の担当者がどれだけ乗り気でも、話が上に行くところで止まります。
条件を確認したのは、こちらの仕事でした。3週目に気づいて条件を引き直し、そこからやり直しています。リストを誰が作るかより、条件を一度でも一緒に見たかどうかが分かれ目でした。
期間で区切らず、毎週何を見るかで決める
「3か月で結果が出なければ切る」という決め方を、あまりおすすめしていません。何か月で何件、という約束の仕方も同じです。商材の単価や検討期間によって、動き方がまるで違うからです。
かわりに、毎週見る数字を決めておくほうが早く判断できます。架電数、担当者につながった率、アポ率、商談化率、そして失注理由の分布。このうち動いていない場所が、手を入れるべき工程です。
つながる率が低いなら、悪いのはトークではなくリストか時間帯のほうです。つながってアポが取れないならトーク。アポは出るのに商談が進まないなら、成果の定義か、リストの条件そのもの。数字を見ずに「なんとなく合わない」で切ると、次の会社でも同じところに戻ります。
やらなあかんのも分かってる、でも判断材料がない。この状態がいちばん消耗します。
外に出すのは手と時間。決めることは社内に残る
営業代行は、人手と時間を買う手段です。誰に売るか、何を成果と呼ぶか、断られた理由をどう使うか。そこは買えません。
冒頭の資材メーカーは、リストの条件を営業3名で引き直すところからやり直しました。名簿の件数は3,000件から大きく減りました。それでも商談の中身は変わっています。前情報があるぶん、聞き直しから始めなくてよくなったからです。
代行に出す範囲を狭くする話ではありません。入口と出口だけ社内に置いて、あいだは任せる。それだけで、届く報告の意味が変わってきます。
アポの件数は、たしかに分かりやすい数字です。ただ、その12件が誰との12件だったかは、発注する前に決まっています。
よくある質問
Q. 営業代行がうまくいかない原因は、どこにあることが多いですか?
代行会社の実力より、発注側の準備であることが多いです。誰に売るか、何を成果と呼ぶか、商談を誰が受けるかが決まらないまま契約すると、代行会社はその空欄を自分で埋めるしかありません。そのため代行会社を替えても、たいてい同じ場所で止まります。
Q. 営業代行に丸投げしてはいけないのは、どの工程ですか?
誰に電話をかけるかを決める入口と、商談で何が起きたかを戻す出口の2か所です。入口を任せるとリストは作りやすい条件で出てきますし、出口がないと失注の理由が翌週のトークに戻りません。架電そのものや日程調整は、外に出して構わない部分です。
Q. 営業代行を始めたあと、何を見て継続を判断すればいいですか?
期間で区切るより、毎週見る数字を決めておくほうが早く判断できます。架電数、担当者につながった率、アポ率、商談化率、失注理由の分布の5つです。つながる率が低ければリストか時間帯、つながってアポが取れなければトーク、アポは出るのに商談が進まなければ成果の定義かリストの条件を見直します。
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